琵琶湖の北側に位置する滋賀県長浜市木之本町という所に移住した時のことです。美しい自然の中での生活にあこがれ、私は夢の田舎暮らしに心は踊っていました。住む家はリフォームしたての5LDK庭付き小屋付き古民家で家賃は2万円。山の景色や野生の花々から季節を感じながら、都会では感じることが出来ない自然との共生みたいな感覚の生活がスタートしました。その地域は雪も多くてゴールデンウィーク辺りまで暖房が欠かせなく、外は寒いので地元の方は殆ど家の中で過ごしているようでした。
引っ越ししたのは3月下旬。この町は人も見かけないどころか野良猫も見かけない。主人は仕事に出てる間は、私は物音一つしない家の中で長い時間を一人で過ごすことになりました。近くに知り合いもいなく、慣れない土地で、少し孤独な想いの中で一か月程たったある日、ふと頭にある想いが浮かびました。それは、「私の存在って何だろう」「私は誰のために役に立てるのだろうか」「私が居てもいなくても主人以外の誰も困らないのかもしれない」ということでした。もしかして、自殺を考える人の気持ちはこんな感じなのかもしれない。
慣れない田舎での生活は、人は一人では生きていけないとよく言われますが、人と関わること、話し相手が必要こと、そして何よりも孤独を感じないことが一番大事だと痛感させられた経験となりました。